プロの修理エンジニア。ラジオ、テレコ、ラジカセ。
メーカー製ラジオを治しても面白みは薄い。なぜなら鳴って当たり前だ。いままで鳴っていたのだから「治せば鳴る」。故障部品を同等部品に交換すれば直る。
製造ラインでの不良は「部品不良+実装間違い+基板のエッチング不良+ 半田実装不良+半導体特性不良」と重なってくる。市場出荷品の不動作では「部品不良+半田実装」」を見れば足りる。工場では、基板のエッチング不良/半導体特性不良にはかなり梃子摺る。「web上のプロ」はエッチング不良に出会わないだけ楽だ。
家電の修理センター(YAMADA電機:松本市 )でTVやビデオの修理エンジニアを募集していたので訪ずれたことがある。ラジカセ・カーステ製造ラインでの修理業務実績が6年ほどあったので、そこを訪ねてみた。
センターでは回路図なしでTVを直していた。正直驚いた。半導体の規格表は数冊はあった。が、、回路図とはにらめっこしていない。 株式上場している ヤマダ電機での現場だ。
回路図を手に入れるのにもゼニが掛かる時代だった。所謂、資料がない状態で彼等の頭の中は凄いと想った。1987年当時なのでWEB情報はまだ弱い頃。実際、ギャラは破格だった。メーカーに修理を頼むより安く直せるからヤマダ電機は始めたようだった。プロの修理エンジニアを見た瞬間だった。
オイラが到達しえない水準だ。
それに比べると真空管ラジオは部品点数が至って少ない。掲示板で修理方法の指導を受けたものをyahooに出す蛮勇者もいる。彼等は「恥じ」を知らないらしい。
「回路図が~」と騒ぐほどの部品点数ではない。騒ぐとかなり恥ずかしいと思うよ。僅か40点弱の部品では配線から追いかけても手間隙は知れている。春日無線AF-22あたりでも回路図なしで追える部品点数だ。
残念だが、オイラが近間で見たプロ修理エンジニアの水準に届くweb はない。「web上でのプロ」と実際のプロとは手作業速度がまったく違う。製造ラインでは、もたもたしていると不良が溜まるのでささっと要因特定し治す。
田舎のおっさんですら、ラジオ/カーステ系は1万台超えで要因特定してきた。製造ラインに配属されていた時のライン累計製造は150万台~180万台しかない。ナショナルのカーステレオは長野県松本市の松下通信でも製造されていたので、それなりの台数を下請け生産してきた。
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美男君も、秀二君も、宮尾先輩も皆、オイラより技術水準は上だった。直上の上司はシーケンサー屋に転職して、三菱電機の某課長(シーケンサー部隊?)を5年ほど勤めて田舎に戻ってきた。その分野では県内に知られている。 オイラは機械設計屋になった。電気回路だけで飯が食える時代ではない。
宮尾先輩は無線通信開発メーカーに居て基板を開発中らしい、知人の某氏も、東芝生産技術の上層部に居るが、彼とて富士通須坂の規模縮小にやられた一人だ。
「エンジニアが丸ごと八重洲無線に転職した」ってのを頻繁に聞いた時代だ。このオイラは往時の平均水準であったが、周りの技術水準が下がるにつれてオイラは平均値でなくなったらしい。
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