パーツフィーダー考 ピエゾ
先般、パーツフィーダーのことに軽く触れた。
日本にパーツフィーダー技術が持ちこまれて100年以上経過した。
日本でもっとも古いのは、神戸製鋼系のパーツフィーダー。直に技術を学んだから。
FA装置のエンジニアでパーツフィーダーのことを詳細に知るものは稀有。ゆえにそれなり性能のものも流通している。(2流品、3流品が主流だぜ)
・整列搬送に係る特許の大部分は「神戸製鋼系のパーツフィーダー」が持っている。まあピエゾ式は 特許出願した日に、 オイラも含め多数が某フィーダー屋に招かれて会社見学をした。創業者が得意顔で話してくれた。このフィーダー社は諏訪精工社を早期退職した個人で始まった会社。子なしだったので精工社から若手を引き抜いて継がせたのが1997年頃。 精工社在籍当時は時計製造ライン設備の組立作業に従事しており、退職独立後はエプソン(諏訪精工社)が主たるお客であった。FAの仕事を請けると精工社からフィーダー手配については発注先の暗示があった。こんな経緯を知る者は鬼籍だ。
・いつぞやNTNのフィーダーのエンジニアがしたり顔で「△△」の特許出願をしたと説明していたが、その場に居た神鋼のエンジニアが「それは大昔にこちらで特許取得済み」と申していた場面は、まじかで見て面白かったな。
ピエゾ式フィーダーの歴史を知る一人には為れた。
折り返し式直線フィーダーは、凡人は振動体を2個使う。ところが1つの振動体で実現させた奴もいた。オイラも実働を見て感心した。彼があまり業界に知られてはいないのが残念。塩尻事業所内で評価されていなかったのでドロップアウトしてきた。
彼曰く「2個振動体を使えば子供でも折返しフィーダーが造れる」
・「振動体2個の折り返し(凡人 設計)」しか見たことない水準では想像もつかないだろうな。まあ子供水準のまま整列搬送させればよいだろう。だから隣国に抜かれるんだよ。
・部品の整列搬送は、「東芝生産技術」が刊行した本が実測データもあっていちばん詳しい。機械設計エンジニアは手に入れるべきもの。「整列搬送のバイブル」だよ。 パーツフィーダー屋もその本の存在を知らないのが多いんで、知識レスで真似ているだけだ。
・「知識無くとも仕事は出来る」とは名言だ。そりゃ、40年前の古本だがね。
そうそう、ハイスピードカメラで直線フィーダー上のチップ部品1005の挙動を撮像して、神戸製鋼系のパーツフィーダー屋にCDで渡したことがある。初めて1ミリ秒ごとの挙動をスロー動画で見たと喜んでいたな。あれからもう18年経過した。
オイラが借りている駐車場のオーナーの身内に河口湖精密で「機械式時計の組み立て工」がおられた。 デジタル式時計の普及で早期退社に追い込まれたと聞いた。
技術の継承は
ヒトからヒトへ行なわれるが、 会社オーナーによってはそれを全否定するのも居る。
若者でパソコンを使えないタイプが増えているように、日本の知的平均は下がっていることをお忘れなく。
**********************************
さて「個人でパーツフィーダーが造れるか?」を考えてみる。
オイラの知人で3人は、自分でフライス加工してボール型パーツフィーダーをつくっている。その理由は、メーカー市販品は非常に高額だからだ。 人間3次元フライスと呼べる奴もいる。
悪いが、オイラも直線フィーダー&ボールフィーダーの設計経験はままある。パーツフィーダー屋の図面屋が忙しいとかで、20テーマほどは図面(総組図、部品図)は仕上げて、パーツフィダー屋に渡した。 本業は装置設計屋(部品加工屋あがりの機械設計屋)だがね。
腕の良い装置設計屋なら加工図は書ける。もちろんマシンニグ加工経験が10年程度は必要だ。
「ボールの振動体」+「コントラーの費用」+「材料費」+「社内労務費」でパーツフィーダーが手に入るので、わざわざと専業メーカーに出すほどのことはない。
板金構造のボールになるなら、専業メーカーの方が溶接などは上手い。
端的には、腕があれば専業メーカーに出さずとも造れる。専業メーカーより秀でた作品もオイラは視てきた。
コメント