2017年2月19日 公開
3端子レギュレータはラジオで使えるかどうかについて考察した。
製造メーカーsiteには「発振する」と明記がある。クローズド制御ゆえに発振からは逃げられないことが多い。ホワイトノイズ発生器として多用されるツェナーを内蔵しているのが3端子レギュレータだ。ラジオゆえに数mVのノイズが致命傷になることも多いので、ノイズレス品選定することをお薦めする。
リップル除去について
オイラは御馬鹿なので3端子レギュレータの実力を疑うことにした。
①3端子レギュレータ使用の波形写真
ヒータ6.3Vを倍電圧整流し,12.6Vに為ったあとに3端子レギュレータ(9V)を入れている。負荷は2sc1815が2個なので5mAも流れない。VTVMは3mVレンジ。3端子レギュレータを使っているので、「リップルが減っている?」らしい。
リップル電圧が12.6Vならばそれの1/100は0.126V.
1/500なら25mV.
発振はしていないが、この3端子レギュレーターは230kHzで発振していた型式の1Aタイプ(日本メーカー品)。あの時は乾電池駆動だった。
今回は発振なし。あの時は発振。同じ型版シリーズで流れる容量がちがうだけなのに、、、。
等価回路が同じでもウエハーに形成されたランド幅が異なると浮遊C?も異なってくる。回路図だけでは性能を評価しにくい分野でもあると想うよ。
②3端子レギュレータ無しの「平滑回路39Ωの4段」では?
VTVMでの数値は確実に下がっている。スパイク形状のピークは同じようだ。3端子レギュレータを使わない方がリップルが少ない。
スパイク形状対策はオイラが中学生の頃から雑誌に掲載されていたので、公知の方法である。オイラがいまさら書くほどの事はない。
平滑回路の段数によってリップル減少することは公知されている。詳細な本もリリースされていた記憶だ。
負荷次第だが、この位の電圧になった。今は2SC1815が2個。
③次に3端子レギュレータ無しで「330Ωの3段+680Ω1段」。
ここまで改善された。
こうなると3端子レギュレータの能力(性能)には疑問符がつく。
VTVMの針が映っていないので0.5mVより小さいようだ。
CとRで構成した方が、3端子レギュレーターより20円程度安くつく。
CRによる平滑回路で効果ありゆえに、リップル除去が弱い3端子レギュレータの出番は遠い。カタログでは「55dBほどリップル改善されるのが3端子レギュレータの性能」らしいが、その性能は???。
オイラの実験では3端子レギュレータは,リップル除去では無能にかなり近い。さて無能なものに貴殿はいくら投資するか?
実験室で行なわれるデータ取りは実環境と異なるので「チャンピオンデータ」と呼ばれている。この用語は、エンジニアなら聞きなれた言葉だ。この3端子レギレータは残念ながら日本メーカー製である。
③9V出力にする抵抗値を少し探ろう(3端子レギュレータ無し)
68Ωの4段にした。 これで初期(3端子レギュレータ使用)よりはリップルが確実に低い。負荷は2SC1815が2個ととても軽い。
10.7Vなので 正規な負荷をつけて追い込めばよいだろう。
3端子レギュレータは整流後のリップル減少にはほぼ効果がないようだ。材料費では3端子レギュレータ使用が高コストになる。
上の写真たちでは、VTVMは3mVレンジゆえに、波形の大小の比較は簡単だ。
参考にSPEC表
公開されているSPECには上のような表がついていることが多い。本レギュレータのは表なしだったので表は借りてきた。
表からはそこそこリップル除去できるらしいことが載っている。55dBなら500分の1くらいには減っているはずだね。①の数値を
実際にはこの実験のようになった。 SPEC表を信じるか、自分で波形確認するかはご自由にされてください。
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3端子レギュレータ起因の電波ノイズと信号ラインへのノイズ流出
①電波ノイズの実例
安価にて日本へも多数上陸しているLEDモジュール(PLJ-6LED-A3)は使えるのか?
乾電池駆動にて作動させてみた。VTVMが振り切れるほどのノイズ(電波ノイズ)
電池を外すと静かになる。
ここで紹介したように電波ノイズとして飛んでいる。
基準クロックTCXOからも電波ノイズが飛んでいるね。
多くのラジオ工作者がご存知ないようだが、日本メーカーには
「三端子レギュレータは 1~3MHz 付近で発振します」の文字がある。
②電波ノイズには為らぬが,ラインノイズ流出する3端子レギュレータータイプ
波形は230kHz前後で発振中。これも国産メーカー品(アルファベット 3文字)。
+Bのラインからケミコン経由で波形観測。
③信号ラインへの漏れが極小タイプ
1mVレンジで計測なので、0.01mV程度と極小流出
これは海外メーカー品。
もっと低いタイプも流通しているが、それは後日紹介しよう。
まとめ
ノイズ大小あるので、可能ならノイズ流出しないタイプの3端子レギュレータを採用すること。
リップル除去程度は実測し確認すること。
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PIC式ダイナミック点灯表示器。
周期ノイズ流出。
ON/OFF動作させているのでその周波数のノイズを観測できる。
基板の+端子に9V(乾電池)をつなぐ。その+端子からケミコン100μFを経由してVTVM側に信号を取り込む。
これで+Bラインに重畳しているノイズが波形で取れるはず。
①乾電池がOFFなので 何も来ない。
②規則正しいのが来た。
このパルスの周期を知るために低周波発振器の信号と比較した。100Hz近辺だろう。ダイナミック点灯の周期のようだ。
VTVMが0.1Vレンジなので70mVほど電源側に漏出ている。
ヒータ6.3Vを整流後のリップルが2mV以下なので、周期ノイズの漏れが大きいことが分かる。
このままなら従来通りに乾電池駆動しか手立てがない。
③ この漏れを減らそう。
CRで回路構成した。25dBほど減衰している。 10mVレンジ計測なので4mVくらい漏れ出ている。
45dB減衰が理論値ゆえにもう少し減衰させれそうだ。
目先は乾電池駆動がノイズ面では安心だ。
周期ノイズ漏れも1~2mVまで下げる工夫を行えば、ラジオの電源トランスからエネルギー供給することもOK.
◇原作者製作のラジオカウンター(参考にどうぞ)
当然漏れました。3端子レギュレータは全く異なるメーカーだがね。
3端子レギュレータの無能には驚きましたな。
④内⇒外に流出阻止具合の確認
◇3端子レギュレータを使って供給。
◇3端子レギュレータをパスしてみた。
4dBほどは増えた。
阻止作用は4dBくらいだ。
まとめ
・3端子レギュレータはリップル除去能力はほぼ無い。
・内⇒外に向って流出を止める作用は4dBていどで、30Ω抵抗1個程度の作用もあるかないか?
よって過剰に期待せずに使用することをお薦めする。
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追記 2017/05
2012年には、真空管用+Bでのリップル低減の実験結果を公開している。
トランジスタ式リップルフィルターの作動具合もUP済みだ。
CRによる平滑回路で0.00094%のリップル率も確認している。「半導体リップルフィルターでの実力がそこまであるか?」は未実験だ。
また2012年内容と重複するが、読まない方が多いようなので。再掲した。
もともとラジオ向けの技術確認ゆえに、電波ノイズになる半導体は使用不可だ。
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・日本の技術者は絶えたので、眉唾のwebsiteが多くみられる。 東芝、JRC等のノイズ大メーカーの製品を使うような電子工作siteは、ノイズに無頓着だろう。技術面では低いと推認される。