標準信号発生器からの信号を飛ばして調整はJIS準拠。素人は不勉強なのでこの知識欠如だけどね。
SSGからの信号を電波で飛ばす方法についてお問い合わせをいただいたのでご紹介しておく。あちこちのwebを見ると修理する側のクオリティが落ちているようなので、基本すぎるがあえてupしておく。
昭和35年の雑誌広告を撮像した。概ね56年前のことので当時10代のラジオ少年だったならば当然知っている内容だ。 現在30代ならば覚えておいたほうがよい。
まず、三和無線測器研究所の広告。昭和35年の雑誌から。
標準信号発生器(SSG)とセットでループアンテナを使う。これは往時のラジオ技術者の基本。オイラも20代時代に教えられて使ってきた。(業務でラジオ修理)
「何故セットなのか?」は、画像の説明文を読めば理解できると想う。
50KC~なので455KCを飛ばせる。
と説明通りにSSG値を直読できる。無線電波を受信する機器に有線で信号を入れるのは不自然だよね。
オイラのは、目黒。商品名「テストループ」の文字が読める。
「ラジオ調整 テストループ」で検索すると、オイラのように「業務用テストループ」を所有するsiteが一人だけ見つかる。他は無さそうだ。やはり、修理する側のクオリティが落ちている。
48種ほどのラジオキット作例を公開
ラジオ少年 領布品
1, 1R-STD 1球 再生式ラジオキット
2, 1RW-DX 1球 再生式ラジオ
3, 2R-DC 2球 電池管再生式
4, 3DC-STD 3球ラジオ
5, 3D-STD 3球スーパー 1号機
6, 3D-STD 3球スーパー 2号機
7, 3D-STD 3球スーパー 3号機
8, 6TR-STD 6石スーパー
9, KIT-10 1IC+2TR
10, KIT-12 4石レフレックス
11, KIT-17 1IC+2TR
12, KIT-18 FMラジオ FM専用の小型ラジオキット
13, KIT-600 3バンド ホームラジオ
14, KI-619 6石スーパー
15, KIT-735 7石スーパー
16, KIT-9 6石スーパー
17, MF-47 アナログテスターキット
18, TX-1 AM真空管ワイヤレスマイクキット 1号機
19、 TX-1 AM真空管ワイヤレスマイクキット 2号機
20, デジタルテスター キット
21, ステレオアンプ MINI 6AB8
22, KIT-210 AM/FM ラジオ
23, 2P3 AMラジオ
イスペット
1, CR-P461A 6石ラジオ
テクノキット
1, HR-080 AM/FMラジオ
2, HR-200BX AM/FMラジオ
3, HR-981DX AMラジオ
フォアーランド電子
1, FM-3D 光通信型 FMラジオ
2, FR-702 7石トランジスタ AMラジオ キット
3, FR-7100 FM/AMラジオ
4, FR-7300 FM.AMラジオ
5, FRG-2004BL FM/AMラジオ
CHERRY
1, CK-411 4石レフレックス
2, CK-606 6石スーパー
3, KM-88 8石スーパー
アイテック電子
1, SR-7 7MHz受信機
サイテック
1, Comet 40 7Mhz ダイレクトコンバージョン
2, SPARROW40-E 7Mhz ダイレクトコンバージョン
マルツエレック
1, MRX-7D-FK 7MHzレシーバキット
サトー電気
キャリブレーション
CRkits共同購入プロジェクト
2, ARDF 3.5MHZ 受信機 PJ-80
3, 上記 PJ-80を7MHz化 改造
キングエース
1, KF506 6石ラジオ
海外品
1, Graymark536 8石ラジオ
2, トランジスタラジオキット S66D
ハムズオフィス
1, HK-8 O-V-1 電池式
aitendo
1, AKIT-315 3石ワイヤレスマイクキット
秋月電子
2, LCD オシロキット
4, 「だれでもできる電波通信実験」
科研 (KAKEN)
1, ACT3 AM ラジオキット
ワンダーキット
1、DS-RAD01 DSPラジオキット
2, FW-208 FMワイヤレスマイクキット
ミズホ通信研究所
DFK技術研究所
エレキット
祐徳電子
この頃は測定器VTVMもNコネクター。(現代はBNCだが)
3つ上の先輩のM氏も同僚のS氏も テストループで時折ラジオ調整しているといまも聞く。
「テストループを所有し使っているか?」 or 「持っていない」が、修理業務経験者と素人との違いだろう。
現在の入手方法は、年1回ていどみかけるYAHOO出品をgetするしかない。
見様見真似でラジオ修理を始めるのは当人の勝手だが、修理業務経験者なら半導体ラジオで1万台程度は軽く修理しているので、修理経験の桁が大幅に違うだろう。(2桁?3桁?)これだけの台数を趣味では治せない。(趣味では総時間が不足。)
「プロとアマチュアとは決定的に違う。どこが違うか?」 。プロは数をこなしているので、仕事が安定している。無駄な手間が無いのがプロ。
ラジオ修理業務では、「標準信号発生器+テストループ」はmust。
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少しJISでの紹介をしておこう。修理業務経験者なら知っているのが基本知識。
まず、菊水 テストループ SA100.これはJIS C6102-1998準拠。
菊水さんから写真はお借りした。
先日、ラジオ調整の基本としてテストループで電波を飛ばすことを記した。
バーアンテナで受信するラジオのために、テストループのインダクタンスもJISで定められている。JISの文面にあるようにトランジスタラジオ調整ではmustの設備になる。これを所有するのが、プロ。
家電メーカーでは、JISに準拠してラジオ調整を行なう。
修理業務の未経験者は、テストループの存在そのものを知らない。稀に知っている人がいる。
オイラのは目黒のテストループ。
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室内開放線アンテナつきラジオについてJIS準拠の調整
JIS C6102-2によると
「標準無線周波入力信号は,適切な擬似アンテナ回路網を介して受信機のアンテナ端子に印加するか(第1部の表 III 及び図 5 参照),又は標準磁界発生器で信号を受信機の磁気アンテナに誘起させることによって印加する。」と定められている。
1部記載の擬似アンテナ回路網を見ると開放線の長さが、5m と10mでは 擬似アンテナが異なる。また受信周波数帯によって 回路定数も違う。 磁気アンテナのラジオだとテストループで調整するので擬似アンテナ回路網の組みなおしは不要だ。
「長さ5m程度の室内開放線アンテナのための100kHzから1.7MHzまでの周波数範囲の擬似アンテナ回路」では図示のようにCは無い。この場合はCが存在するとJISから離れた「勝手な調整方法」になってしまうので注意。
JISはここから読める。
室内開放線アンテナは真空管ラジオの全盛期を彷彿させる。JISによれば、「結合Cだけを使う」ことは全く推奨していない。しかしWEB上や雑誌で推奨される方法は、いまのところJISに見つけられない。
開放線アンテナのない「市販ラジオ」では、標準磁界発生器で信号を受信機の磁気アンテナに誘起させることになる。 このためにテストループは必須であり、プロエンジニアはそれを使っている。受信機の磁気アンテナに誘起させることがポイント。
yahooで「ラジオ調整します」のようなものが出品されているが、JISにどのくらい準拠しているのは知りえない。プロエンジニアがJISを知らぬとは考えにくい。
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プレート検波。グリット・リーク検波。 2極管検波。 検波考。歪み率について
同調回路のQ プレート検波で検索すると、深い情報も見つかる。
オイラのような機構設計者が、弱電検波回路に言及するのは身の丈を超える。プロの電気回路設計者が数値式で、プレート検波を解析してくれると想う。
繰り返すが 先達の本を読むように、、。
昭和30年代のとある「初心者向けtext」からごく僅かお借りしてきた。 初心者向けなので、お馬鹿なオイラにも理解できる。
歪み率に注目しよう。
①プレート検波
「一部では音が良い」との記事も見かけるが、「真実はどこにあるのだろう」と初心者向けtextで確認した。
上記図のように,歪み率はほぼ10%以上。よい処で8%。 この歪数字で音が良いと言われるのは、流石に腰が引けてしまう。
入力を1.5~2.5Vで使うと8~10%の歪みに納まりそうだ。
球で増幅している分、outは出る。
1V 入力ならば20V出力なので 電圧は20倍(26dB)と,ずばり球1個分の増幅度。
②グリット・リーク検波
再生式ではポピュラーな検波方式。
注目の歪み率は、プレート検波よりも小さい。半分というか1/3というか確実に歪みは小さい。
入力を0.2~0.4Vとし、グリット検波使うと歪み率は2~4%。プレート検波では歪み率10%。あなたはどちらを使いますか?
0.1V 入力ならば1.5V出力なので 電圧は15倍(24dB)の増幅度。プレート検波よりやや増幅度が落ちているが定数次第だろう。
③2極管検波
スーパーラジオでお馴染の回路。
1Vも入力させると、歪み率は1%以下になる。 プレート検波、グリッド検波より1桁以上goodだ。
入力10Vでも3Voutゆえに入力レンジは 他の回路より広い。
2極管検波の信号を25dB程度増幅すれば、出力レベルはgoodになる。
試算すると、
★1 2極管検波+6AV6増幅 1v入力+25dB増幅 ⇒ 出力20v 歪み1%
★2 プレート検波 1V入力 ⇒ 出力20v 歪み9%
どちらを選ぶかは、お好みによるが、歪みの多いものを選択するゆとりはオイラには無い。
「初心者むけTEXT」には基礎情報が載っているので、入手し読むことをお薦めする。
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複合管の登場以前ならば、グリッド検波 VS プレート検波で回路検討するのだろうが、6Z-DH3Aや6AV6のような複合管が市場登場したので、「2極管検波+3極管増幅」が歪み率と音量面からもgood。
以下、ラジオ工作の基本だが
①加えて、検波回路とAVC回路は其々別にすること。
②IFTの直後に検波素子を入れるとIFTのQが下がる。
③6AV6,6Z-DH3Aのヒーター・ピンはどちらの方をアースすべきか? ここ。
オイラのサイトの訪問者は上記3点 ご存知のはずだね。
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無限大入力インピーダンス検波
過日、2極検波、プレート検波そしてグリッド検波での歪み率を、先達の文献から記事にした。
NHK発行のTEXTには「無限大入力インピーダンス検波」の項目がある。
Rkは100kΩ前後。Ckは100pF.
簡便に申すと、歪み率は2極管検波よりも劣る。3極管使用だが同じ入力レベルの2極管検波よりもOUT-PUTが小さい。
入力インピーダンスが無限大ゆえに、同調回路のQを下げないことがメリット。
詳細はNHKのTEXTを参照。
HI-FIを狙うと同調回路のQを下げることが必須であることは先達の文献にある。
同調回路のQは高い方が良いのか? 低い方が良いのか? ラジオ工作は深い。
「測定器を所有しないラジオ修理品出品者」(実態は、修理者擬きだが、、)もyahooに多数居られる、不幸にして入札・落札してしまったなら諦めることが大切だ。彼等は、ブーン音には無頓着なのでブーン音品なら諦めてくださいませ。
テストループから信号を飛ばしてトラッキングできる「ラジオ修理品出品者」は未だ発見できない。
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