・真空管には200Vや100V等の電圧印加でないと使えないと思われていた時代に、12V印加で使えることを1992年CQ誌上で公開したのはJF1OZL氏。以降10V,12Vでの作例が多数みられるようになった。
約30年経過した今、それは常識にまで広がった。低圧駆動で真空管機器を扱うプロエンジニアすら歴史経緯を知らない。(どこぞのメーカーだかわかりますね)。「プレート電流が多い球の方が作動させやすい」ことを見つけたのもJF1OZL氏である。知見と努力に感謝候。 JF1OZL氏に感謝候。
以下、JF1OZLサイトからの転用。
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電源電圧たった1.5V!2HA5単球ラジオ(作品NO 78)
2HA5単球1.5ボルトラジオ
このページの冒頭に,このページの作品は実用ではありませんと、お断りしておかねばならないでしょう。これまで、低い電圧での真空管の利用についていくつかの実験的な作品を紹介してきましたが、「真空管を最も低い電源電圧で使用する事に挑戦しよう!」という共通の主題の元に作ってきました。今回の作品もまた,この主題に関する結果の1つです。
私は,真空管を100種類ほど持っています。それらのほとんど全ては,私と私の弟が約25 年前に廃棄されているテレビセットから拾い集めてきたものです。これらの手持ちの真空管に対して、プレート電圧が何ボルトから電流が流れ始めるかを試験しました。その実験の結果は2HA5という名も無いというか有名でない真空管が,優勝者だったわけで。また、この三極管の格子は,プレート電圧1.5Vボルトの動作でも、プレート電流をコントロールすることができることがわかりました.この真空管のヒーターの設計値は,2.4V-0.6Aです。
また、この真空管は,カラーテレビセットのチューナーに使われていた物です。多分,この真空管は,日本のオリジナルだろうと思っています(元設計がGEやRCAでは無いという意味)。そして,私は,実験の結果、この真空管が,ヒーター電圧も1.5Vでも動作することができるということに気づきました。図の右側を見て下さい! これは,2HA5の低電圧特性です。格子ボルト数が,-0.3から0Vに変わったときに,そのプレート電流は,2.5uAから32uA に変わりました。それは,すなわち,コントロールされています。
しかし,それと同時にで,格子の電流は,14.5uAから145uA に変わります。そしてつまり,格子が,動作する為にそれ自体電流を要求するので,この真空管のグリッドの入力インピーダンスは,またとても低いという事になります。格子の入力インピーダンスを計算すると,0.3V/145uA= 2 kohm です.つまり、制御グリッドが電流を必要とするので、この場合普通の真空管の様に電圧制御素子として扱うのはふさわしくありません。電流利得( トランジスターのhfe と同じ単位) は,すなわち32/145 = 0.22です。それは,とても低いでしょう。*** それで,ラジオを図の左側で示した様に作りました.このラジオでは,格子の低い入力インピーダンスに適応させるために,格子は同調コイルにタップダウンでリンクさせています.このラジオ(アンテナからホーンの間 ) の総計の電圧利得は,実測18dB でした.それは,「ゲルマニウムラジオ」よりより大きいゲインです。私のゲルマニウムラジオは,6dBの電圧利得を持っています( パワーゲインじゃ有りません! この場合は総合電圧利得です。) ゲルマニウムラジオとこのラジオを聞きくらべしてみました。このラジオは、ゲルマニウムラジオよりわずかに,より大きな音で聞こえました.
それからこのラジオはプレート検波をしています。検波効率が100%と仮定した場合の、総合電圧利得は計算上、下記の様になります。利得A=5「コイルの巻き数比」*{(32ー2.5)マイクロ「プレート電流の変化」/0.3「グリッド電圧の変化」}*20K「負荷インピーダンス」=10倍、よって20dB。これは実測値18dBと良くあっています。
そうとう頭の柔らかい人じゃないと以上の解説は理解出来ないでしょう。なにしろ真空管を電流増幅素子として扱っているんですから。こんな事やってるから「砂村さんのインチキ作品」なんて言われちゃうんだなあ。はいはい。
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