ラジオ IC とは

 ユリウス・エドガー・リリエンフェルトがFETの原型を1925年に考案し特許取得した。往時の技術水準では物理的に製造できなった。

 ・トランジスタが発明されたのは、彼の特許に遅れること20年あまりの1947年のことである。トランジスタラジオと云えばsonyであるが、日本製初のトランジスタラジオはTR-55である。 これは時々yahooで見かけるが、完動美品で20~40万円ほどで取引されている。

fet考案、トランジスタ発明後の1952年にintegrated circuit考案が公開された。 そこから企業の開発争いがスタートし現在にいたる。

 ・外国での考案であるintegrated circuitをどう日本語にするかでは、集積回路に落ち着いた。日本で最初のモノリシック集積回路は、東京大学と日本電気の共同開発とされる。日本電気を日電と呼ぶのは70歳超えのロートルであるが、オイラも「日電駒ヶ根」向けにメカトロ設備(全長およそ10m)を設計製作した。日電駒ヶ根は2020年頃に閉鎖されている。

 ・トランジスタ複々数個で構成していたテレビ機器、ラジオ機器を集積回路に変えることが家電メーカー中心に行われた。家電メーカーからAM/FM用ラジオIC(高周波増幅、局発、IF、検波、AGC内蔵)が多々登場する最中、演算機器の開発を目指している中でやや遅れて、登場したのがギルバートセルであり、これが1968年の公開である。

・sanyoに限るとAMラジオ局発とIF段(455kc)を先ず集積回路化した。その後FM帯のOSCとIF段を集積回路化した。これは検波段およびAGCはまだ外付部品の時代である。この時代の集積回路を利用すると好みのAGC定数(アタック、リリース)に仕上がったSSB受信機(プロダクト検波)をまとめることが簡単になる。

 技術革新が進みラジオのAF部以外の部品を集積回路化した初めてのsanyo製品がLA1260になる。これのFM部を撤去してLA1600が生産された。以降はHI-FI化とダイナミックレンジ拡張を目指し到着点がLA1247になった。

 ラジオ IC とは、ラジオを構成できる集積回路を呼ぶ。ひとつの集積回路に「ラジオ機能+低周波増幅回路を内蔵している」集積回路でまとめたラジオをone IC radioと呼ぶ。シンプルに「局発とIF段」だけの集積回路もあり、これもラジオicと呼ぶ。東芝は「同期検波のone IC radio」をリリースしており、そこが国内他社との大きな違いである。

 TVにしか使わない集積回路も超多数存在し其等はテレビICと呼ばれることもある。

 ダブルバランドミクサーで有名なMC1496は1968年のリリースである。設計が非常に優秀で短波帯においては此れを超える集積回路は54年経過した今もない。設計陣のオツムの良さに驚くばかりだ。am変調向けの日本製ものでは松下AN612が優れている。

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・ラジオはエレクトロニクスの基本であるので、その働きを理解し後人につなげることが大切だろう。 深い知識を持たないコンサルが大きな顔をする世の中になると、技術水準は底に向かってさがっていく。 1990年ころから下向きベクトルになり、近年はアクセルを踏む者すら出現し、下へ下へと向かっている。

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